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量的・質的金融緩和の違い【わかりやすく解説します】



「量的・質的金融緩和」ってよくきくけど、なんのことなの?
「量」「質」の違いってなに?


本記事はそうした疑問をお答えします。


わたしはロイターやBloombergの記事が全く読めない頃、「お金とは?」から学びなおす決意をしました。


結果、ニュースもすんなり理解できるようになり、かなり金融の知識には詳しくなれたと思います。過去の自分があいまいだった部分を徹底的に解説するスタイルをとっていますので、ぜひみなさんも、参考にしていただければと思います。


※当記事は、金融のベースを理解することが目的ですので、トレードスキルの向上・収支に直結するものではありません。

量的・質的金融緩和とは?

量的・質的金融緩和の導入


今ではかなり前の話になりますが、2013年に黒田総裁により、消費者物価の前年比率2%上昇を「物価安定の目標」とし、達成を目指すことが決められました。


来年は今年より、2%物価が高くなる(≒景気が良くなる)ことを目指そうということです。国レベルでそれを達成するためには、かなり大きな取り組みが必要になります。そのために計画されたのが「量的・質的金融緩和」になります。
三本の矢、ということばも耳にしたことがあるでしょう。その第一の矢がこの量的・質的金融緩和でもあります。なお、「緩和とは何か?」についてはこちらで簡単な解説をしていますので、ぜひご参照ください。

量的緩和と質的緩和の違い

混乱しやすい?量的緩和と質的緩和の違い


すこし複雑な話になります。みなさんはこの「量」と「質」は何を指しているとお考えでしょうか?


景気をよくするために、何かの量を増やし、何かの質をよりよくしようということなんだろう。「量」というのは、お金とか、そんなもんなんだろう。とはいえ、「質」って何だろう…金利のこと?でも金利を「質的なもの」っていうの、おかしくないかな?


これが過去のわたしがしていた勘違いです。そして、同じような勘違いをされている方が多いように思います。


参考までに、オンライン上に寄せられていた質問をひとつ、引用してみましょう。

「量的緩和」は、貸し出す審査を緩くして信用の低い客にもどんどん貸すことで「質的緩和」は、貸し出し金利をゼロにまで下げることという理解でよろしいでしょうか?違いましたらそれぞれの定義を、違いが判るようにご教示ください。

YAHOO!JAPAN不動産

量的・質的緩和


野村証券ホームページより、定義をみてみましょう。これを用い、以下で解説していきます。

日本銀行による金融緩和の強化策。2013年4月の金融政策決定会合で導入を決定し、金融政策の操作対象を従来の金利(無担保コールレート・翌日物)から資金供給量(マネタリーベース)の「量」に変更してこの供給量を増加、さらに「質」にも配慮して長期国債を買い入れることや、上場投資信託(ETF)などのリスク性資産の買い入れ額を拡大するというもの。第2次安倍内閣がデフレ脱却策として掲げた「大胆な金融緩和」を日銀が実現したもので、この金融緩和策の導入により2013年以降の2年程度をメドに2%の物価上昇率を目指すとしていた。

野村証券 量的・質的金融緩和

「量的」とは


これはマネタリーベースを増やすことを指しています。マネタリーベースとは、発行済みの現金(紙幣・硬貨)と、各金融機関が日銀に預けている当座預金残高のことをいいます。


金融機関は、国債をはじめ、さまざまな金融商品保有していますよね。それを日銀が買い取ることで、金融機関にお金が戻ります。そのお金で、もっと他の金融商品を買うなり、融資をするなりしてお金を回してくれということになります。
日銀が金融機関から買い取る金融商品の量を増やし、マネタリーベースの量をより加速的に増やす。これが、「量的」緩和の意味するところになります。

「質的」とは


長期国債を買い入れることや、リスク性資産の買い入れ額を拡大したことを指しています。


国債には、数か月で満期を迎えるものから、40年先に満期が設定されているものまで、様々な種類があります。そうした全ての種類の国債を対象とし、日銀が買い取ることにしました。そして、それらの平均残存期間を、今までの3年弱から、7年程度に延長したんですね。


3年後に期日を迎えるものと、11年後に期日を迎えるものを同じだけ持っていたら、平均残存期間は7年になります。
長期国債は、残存期間が長いものほど、価格が変動するリスクが大きくなります。遠い未来のことなんて、誰も分かりませんので、持っていても不安ですよね。


さらに、ETF( 指数連動型上場投資信託 )、J-REIT(不動産投資信託)といった金融商品の買い入れも開始することにしました。国債が安全資産と言われてますから、国の経済を左右する金融政策の視点で言えば、かなりリスクの高い金融商品と言えるでしょう。個人で取引するのであれば、その個人の資産に影響を与えるのみですからね。
つまり、従来よりリスクの高い金融商品の買い入れを開始することにした。これが、「質的」緩和の意味するところになります。

まとめ

こちらで、過去のわたしは、景気をよくするために、


景気をよくするために、何かの量を増やし、何かの質をよりよくしようということなんだろう。「量」というのは、お金とか、そんなもんなんだろう。とはいえ、「質」って何だろう…金利のこと?でも金利って「質的なもの」っていうの、おかしくないかな?


と考えていたとお話ししましたよね。そして、質=金利と勘違いされている質問者さんを取り上げました。


お気づきかとは思いますが、「何らかの量」「何らかの質」を対象とし、改善しようというよりかは、政策の基準という意味だということが分かりますね。量の意味では少しあいまいですが、「買い入れる資産の量(=増やすマネタリーベースの量)」と「質(=買い入れる金融資産のリスク)」を表しているということになります。


複雑な話になりましたが、繰り返し考えていくとその思考回路がつくられていき、分かるようになってくるものです。今日一気に理解する必要はありませんから、気になったことを調べて考えるくせをつけていきましょうね。